【石垣りん】おやすみなさい
昨日の新聞、スマトラ沖地震の記事が大半を占めていた紙面の片隅に、詩人の石垣りんさんの訃報を見つけました。
自立した自由な人間の目で社会や女性の生き方をとらえ直した詩人の石垣りん(いしがき・りん)さんが、26日午前5時35分、東京都杉並区内の病院で死去した。84歳だった。(中略)6月に脳こうそくで倒れ、入退院を繰り返していた。
日常の言葉を用いて、戦後の社会や家族制度、労働について詩にした。鋭い批評性とあたたかな人間味が共存する作風は、幅広い読者を得、多くの作品が教科書に採用されている。短編小説やエッセーも手がけた。(全部読む) |
石垣りんさんの作品を初めて読んだのは、中学の国語の教科書に載っていた「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」でした。
その詩はわかりやすい言葉で書かれていて、何故かとても惹かれたのでした。
有名なのは第1詩集の題名にもなった「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」や、「表札」ですが、あさぎが一番好きなのは「おやすみなさい」という詩です。
おやすみなさい 石垣りん
おやすみなさい。 夜が満ちて来ました 朝も 昼も 夜も いままで姿をあらわしていたものが 濡れて、沈んで、我を忘れて。 私たち 生まれたその日から 今夜はいかがですか? 布団から やっと顔だけ出して 財産も地位も衣装も 持ち込めない 裸の島に 深い夜が訪れています。 おやすみなさい。 |
この作品は20数年ほど前に東海テレビのクロージングVTR用にと依頼されて書いた詩です。朗読されることを前提にしているので『音で聞いてわかりにくい言葉は初めから使わない』ように書いたそうです(エッセイ集「夜の太鼓」より)。
80年代に中京圏に住んでいた方ならば、クロード・チアリのギターの曲と共に朗読されたこの詩に聞き覚えがあるのではないでしょうか?
実は、つい最近エッセイ集を3冊買ったばかりだったのですが、忙しくてきちんと読んでいませんでした。
追悼の意味も込めて、このお休みの間に読もうと思っています。
ご冥福をお祈りいたします。
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